
なぜ、日本はヨーロッパと比べて、電線の地中化が進みにくいのでしょうか?
日本では電線の地中化が進みにくい背景には、地理的な要因と行政的な要因の双方が存在しています。
まず地理的な観点から見ると、日本は山が多く平野部が狭いため都市が山際や海岸線に集中しており、地下空間の利用余地が限られています。また地盤が脆弱な地域も多く、掘削工事のコストが高くなる傾向があります。
さらに地震や台風、大雨、豪雪といった自然災害が頻発し、特に地震によって地中設備が損傷した場合には復旧に時間がかかるため、信頼性の面でリスクが大きいとみなされています。
加えて、水道・下水・ガス・通信など既に多様なインフラが地下に密集しており、新たに電線を埋設する余裕が乏しいことも課題です。これに対してヨーロッパは、広大で安定した平野が多く地中化工事の条件が良く、災害の頻度も少なく、都市設計が比較的ゆったりしているため地下インフラの配置や拡張が容易です。
一方、行政的な観点から見ると、日本では電線地中化の費用を国や自治体、電力会社、通信会社、沿道事業者が分担する仕組みになっているものの、調整が難しく、特に地方では採算が合わないため優先度が下がりがちです。
戦後の高度成長期には、都市美観よりも電力供給の速さと低コストが重視された経緯があり、そのため既存インフラの更新としての地中化は長らく後回しにされてきました。
さらに、国交省や自治体、電力会社の間で利害調整が複雑で、景観や防災を理由に強制的に推進できる制度的な枠組みも弱いのが現状です。これに比べてヨーロッパでは、景観保護の意識が歴史的に強く、地中化が都市計画に最初から組み込まれており、また景観保護法や都市保存条例のような制度が行政の推進力を裏付けています。
そのため費用負担も公共事業として明確化されやすく、地中化の進展につながっています。

最後に、簡潔に日本とヨーロッパの違いを、まとめてもらえますか?
このように、日本では地形や災害環境の厳しさと行政上の仕組みの複雑さが重なり、電線地中化が進みにくい一方で、ヨーロッパは自然条件と行政制度の両面で推進に適した環境が整っていると言えます。

